2016/09/27

台風日の出勤・登校停止令

  台湾では台風上陸の前夜、台風の規模が市民の外出に危険を及ぼすレベルと判断されると、市長や県長が「停止上班上課」(出勤・登校の停止)の布告を出し て、その市内・県内の学校や企業は休みになる。もし布告が出されなかった翌日が暴風雨なら市民から怨嗟の声が県市の長に向けられるし、布告が出たのに風雨 がたいしたことなければ企業から批判が向けられる。安全と休養を求める市民の声と経済界からの要求の板挟みで、台風が来るたびに首長は苦しい判断を迫られ る。
 昨夜(26日)台南市、高雄市、嘉義県、嘉義市、雲林県はいずれも「午前中のみ出勤・登校」の決定をした。ところが台風の足が速まったのか、朝7時過ぎ に私が演奏の練習のためにバイクで小学校へ向かっている時点でハンドルを取られそうになるような風が吹いていた。台湾では家族が車やバイクで子供を学校に 送り迎えする家庭が多い。12時はもう暴風雨で、学校の前の道路は大混乱になった。もちろん会社からの帰宅も命がけ。
 かんかん照りだった昨日は想像もつかなかった光景がメディアに続々と流れ出した。赤信号でもないのにバイクが群れをなして停止している様子を上から撮っ た写真。あまりに風が強くて進めないのだ。宅配ピザのスクーターが転倒している写真。運河の水が道路に溢れ出している。無数の家が浸水に見舞われている。農作 物の被害もひどいはずだ。
 普段は支持率の高い台南市長や高雄市長も批判の的になり、謝罪の声明を出した。以後は半日だけ出勤・登校という布告は辞めたほうがいい。市民の側も、た とえ布告が出ていなくても各自が危険と判断したら出勤・登校を控えて、それを企業・学校も容認しなければならないような意識を作っていったほうがいい。